不登校の居場所研究

文部科学省(2021)によると現在小中学生の不登校数は約24万人で2012年を皮切りに9年連続で増加しています。不登校とは「何らかの心理的、情緒的、身体的若しくは社会的要因又は背景によって、児童生徒が出席しない又はすることができない状況(病気又は経済的理由による場合を除く。)」を指し、おおむね年間30日以上の欠席日数がある生徒を不登校と定義します。

 2017年に施行された「教育機会確保法」では、不登校や登校拒否が認知されてから初めて、国が不登校の学びの機会の確保について法に定めました。そしてこの法律では、不登校生が必ずしも学校復帰を目指す必要はなく、社会的な自立を目指すこと、不登校の児童・生徒の学びの場の確保についても言及しています。 
  
このように不登校が増加し、不登校が認知され、社会問題として認識される中で、各教育委員会が開設している教育支援センター(適指導教室)や、フリースクールをはじめとした民間の教育機関に通う児童生徒も増えています。
 
 しかし今のところ、フリースクールをはじめとした不登校者のための民間教育施設は明確な定義が無く、国からの金銭的な支援もないため、多くの団体・施設は経営が不安定な状態が続いています。

またフリースクール側としては、児童・生徒が「学校復帰」をしたり、「進学」したりしてしまうと、より経済的な負担を抱えるため、暗に自立や成長を遠ざけてしまうような団体もあり、不登校ビジネスとフリースクールの経営状況が常に天秤にかけられています。 


また、不登校となると、学力面や体力面、コミュニケーション能力が著しく落ちてしまうため、こちらの支援も重視する必要がありますが、フリースクールなどの民間教育施設の定義が未だ定かではない中、勉強をしない、運動をしないといった施設もあり、 内部の活動を明らかにしたり、開かれたフリースクールをつくったりすることが難しいのも現状です。

不登校という一過性の出来事により、進学や就職が上手くいかない。自分のやりたいことが出来ない。その後の長い人生を「不登校」になったために後悔してしまう。大人になってからふたたび引きこもりのような形になってしまう。

私はそんな「不登校」の環境を変えたい。不登校の子どもたち若者たちの居場所を変えたい。不登校の子どもたち、若者たちを支援する支援者や支援団体が、しっかりその仕事で生活が出来るように、制度や法律を変えたい。


そして、不登校生の居場所運営の安定性。不登校生のための居場所の拡充。不登校生のための居場所の選択肢の拡充、学力不足・体力不足・コミュニケーション能力不足などによる進路面での問題、引きこもり問題など、様々な問題や課題を解決すること。

不登校であっても、社会に出て活躍できる居場所づくりを目指し、研究を行なっています。





修士論文の題目
『不登校児童・生徒のその後を見据えた居場所の在り方の再検討
‐問題解決志向をもったフリースクールの取り組みを中心に‐』